税制適格・税制非適格の違い

会計/税務

組織再編税制でまず論点となるのが、当該組織再編が税制適格か税制非適格かだと思います。

ここについては、公認会計士の修了考査の税務で頻出論点ではありますが、手が回っていないor丸暗記の受験生も多く、実務で一から学びなおしとなることが多い論点と思っています(事実、私がそうでした)。

なので今回は、税制適格と税制非適格の概要について簡単に解説していこうと思います。

税制適格・税制非適格とは

まず、税制適格・税制非適格の定義から確認していきましょう。

そもそも法人税法では、合併・分割・現物出資・現物分配に伴い生じる資産・負債の移転については、時価譲渡として取り扱うことを原則としています。

また、株式交換・株式移転についても、現実の資産の移転はないものの、合併等との経済的効果の類似性に着目して、株式交換・株式移転の日において特定の資産の含み損益を課税対象とすることにしています(=税制非適格)。

しかし、企業グループ内での合併や分割等の組織再編が行われる場合、上記の原則が適用されてしまうと、組織再編の度に課税関係が生じてしまい、円滑な組織再編が行えないことが問題視されていました。

そこで、企業組織再編を円滑に進める観点から、組織再編により資産を移転する前後で経済実態に実質的な変更がないと考えられる場合(グループ内の組織再編等)には、課税関係を継続させることとしました。

具体的には、移転資産の譲渡損益(株式交換・株式移転においては完全子法人の保有する特定の資産の評価損益)の計上を繰り延べることとしたのです(=税制適格)。

つまり、まとめると下記のようになります。

  • 税制非適格(原則):時価で譲渡したものと考え、譲渡損益は課税される
  • 税制適格(例外):税務上の簿価で引継ぎ、譲渡損益は繰り延べる(=一時的に課税されない)

税制適格・税制非適格と聞くと、適格が原則で非適格が例外のような印象を持ちがちですが、それは間違いで、正しくは税制非適格が原則的な考え方であり、税制適格は政策上の例外的な考え方となるのです。

適格要件

上記で記載したように、税制適格は例外処理であるため、税制適格となる場合を限定する必要があります。

そこで、税制適格を有するためには、適格要件を満たす必要があります。

ただ、この適格要件については、各組織再編の方法(合併、分割等)によって異なり、さらに企業グループ内での再編なのか、共同事業を行うための再編なのかによっても充足すべき要件が異なるので、案件ごとに確認が必要です。

なお、財務省のHPに適格要件の概要がありましたので、参考にしてください。

財務省 組織再編税制に関する資料

財務相HP

イメージとしては、グループ内の組織再編であるか否かでざっくりと適格か否かを判断し、適格に該当しそうであれば、案件ごとに詳細に適格要件を見ていく必要があります。

参考

  • 財務省 組織再編税制に関する資料

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